お客様からお問い合わせをいただき、過去に作成した会社案内やパンフレットの制作実績を送ってくれないかと、資料請求のご相談をいただくことがあります。
「○○の業界の過去の制作実績が欲しい」なんてことも言われます。
きっと同業の制作の経験があるところに会社案内やパンフレットの制作依頼をされたいのでしょう。
もちろん、そのお気持ちはとてもよく分かります。
私たちも、初めて依頼する制作会社が「どんなものを作れるのか」「センスや方向性が自分たちに合うのか」を見極めたいというお客様の不安を理解しています。
しかし、弊社は基本的にお会いしたことがない電話やメールだけのお問い合わせの方に過去の制作実績のご送付は行っておりません。
なぜなら弊社の制作実績は全て、過去にお仕事をご一緒させていただいた大切なお客様の企業情報だからです。
では、なぜ制作実績の送付をお断りしているのか。
そして、どうすれば安心して依頼ができるのか。
本コラムでは、その理由と考え方について少し掘り下げてお話ししたいと思います。
皆さんもご自身の立場で考えてみてください。
もし自社の会社案内やパンフレットが同業他社やライバル企業に渡ってしまったらどう感じますか?
事業内容やサービスの打ち出し方、代表のメッセージ、採用方針など、会社の「今」と「これから」を伝える重要な情報が詰まっているわけです。
それを第三者に開示するというのは、たとえ営業資料とはいえ非常にセンシティブなことです。
デザインの中には企業理念や戦略的な表現、価格構成に関わるメッセージなど、競合他社へ安易に漏れたくはない情報が多分に含まれています。
それを他の企業(デザイン制作会社にとっての見込み客)に資料として送るというのは、お客様との信頼を裏切る行為になってしまうのです。
パンフレットのデザインというのは、単に「見た目が良い」だけで成り立っているものではありません。
そこには「誰に」「何を」「どう伝えるか」という戦略設計があり、そこに企業の思いや方向性が反映されています。
だからこそ、デザイン制作実績をそのまま資料として渡すということは、大事なクライアントの考えや戦略を公開してしまうことにもつながります。
会社案内やパンフレットというのは単なる「デザイン物」ではなく、クライアント様の理念・事業内容・戦略・採用方針などの情報が詰まったドキュメント。
それを安易に第三者にお渡しすることは、お客様との信頼関係を損なうことになってしまいます。
私たちが大切にしているのは、デザインの成果物そのものではなく、それを通して築く「信頼関係」です。
そしてこの信頼があるからこそ、次のプロジェクトへとつながっていくのだと思っています。
COMPANY PROFILE PRODUCTION
お問い合わせの中には、「とりあえず資料を集めて比較したい」というケースもあります。
しかし、ここには一つ大きな落とし穴があります。
皆さんも、会社案内やパンフレットを検討する際に、「まずは他社の事例を見てみよう」と思われたことはないでしょうか?
これは一見すると正しい進め方のように見えますが、実は目的が曖昧なまま情報収集だけをしても、なかなか本質的な答えには辿りつけません。
例えば、同じ「会社案内」といっても、営業用・採用用・展示会用など、目的によって構成もデザインも大きく異なりますし、企業のマーケティング上の位置付けとしてもどのレイヤーの段階で使用しているものか、またはどのような課題を解決するために使用されるパンフレットかも分かりません。
ところが資料請求だけではその違いを十分に理解することができません。
結果として「何が良いのか」「どれが自社に合うのか」が分からないまま、制作の方向性が定まらなくなってしまうのです。
つまり、目的が「良い資料を集めること」になってしまっているのです。
しかし本来の目的は「自社の魅力を正しく伝えられる会社案内を作ること」。
資料請求はあくまで手段であって、目的ではありません。
会社案内の制作は、単なるテンプレート作業ではありません。
自社の課題や伝えたいことを整理し、それをどう表現していくかという戦略的なプロセスが重要です。
そのため、初期段階からプロの制作会社と話し合いながら方向性を固めることが、最終的に満足のいくパンフレットを作るための近道になります。
確かに完成物を見ればデザインのクオリティやテイストはある程度分かりまが、実際の制作現場を知っている立場から言わせていただくと、完成デザインだけを見ても、その会社の“本当の実力”は分かりません。
なぜなら、デザインはあくまで「結果」であり、「プロセス」こそが最も重要だからです。
どんな課題を抱えたお客様で、どんな目的を設定して完成したパンフレットなのか。
そこにこそ、制作会社の本当の価値が現れます。
パンフレット制作において、私たちはまずヒアリングから徹底的に行います。
「どんなお客様に向けて発信するのか」「何を伝えたいのか」「どんな印象を持ってほしいのか」等。
この設計段階の精度が仕上がりを大きく左右します。
完成されたデザインをいくら眺めても、こうした背景までは読み取ることができません。
見た目の美しさだけで判断してしまうと、自社に合わない方向性で制作が進んでしまうリスクもあります。
資料を求める前に、まずはプロの制作会社に相談する事をオススメします。
私たちは、具体的な課題や目的を伺った上で、「どのような構成やデザインが合うのか」「どのように作るべきか」を丁寧にご案内いたします。
もちろん、その段階でデザインの参考としてご覧いただける実績をお見せすることも可能です。
大切なのは、資料を見ることよりも話をすること。
そこから、本当に意味のある会社案内づくりが始まるのです。
会社案内やパンフレットの制作は、単なるデザイン制作ではなく、企業と制作会社との信頼関係の上に成り立つ「共同作業」です。
私たち株式会社リアクトは、デザインという目に見える部分だけでなく、その裏にあるお客様の想い・目的・戦略を大切にしています。
資料請求という行為自体は悪いことではありません。
ただし、その目的が「とりあえず情報を集める」になってしまうと、本来のゴールから遠ざかってしまいます。
まずは制作の目的を明確にし、その上で信頼できるパートナーに相談することが、成功への第一歩です。
私たちは、会社案内を「企業の顔」として、そして「未来へのメッセージ」として、一社一社丁寧に制作しています。
これからパンフレットを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
資料よりも、きっと多くのヒントや気づきをお伝えできると思います。