同業他社のWEBサイトを閲覧していると、なかなか大風呂敷を広げていたり、同業だからこそ見えるダメな部分ってありますよね。
恐らく、どの業界・業種でもあるかと思います。
特に会社案内やパンフレットの制作ってそう何度も作るものではないですし、お客様の大半が「会社案内を初めて作る(または初めて担当する)」という事がほとんどなので、前回はこうだったからこういうところは避けようとかっていう経験値が溜まりにくいものです。
そこで今回は、同業だからこそ見える「こんなデザイン制作会社には要注意」をご紹介します。
あくまで弊社の主観なのでご了承ください。
目次
例えば「過去10年で2,000社の取引実績」とか、「過去15年で3,000社の取引実績」とか謳っているデザイン制作会社って結構あります(取引実績〇万件なんていうのもありました)。
でもこれって実は会社案内やパンフレットの制作物だけでない場合がほとんどです。
素人目にはこれだけの経験がある制作会社だから安心だろうと思いたくなるでしょうが、ちょっと冷静に考えてみてください。
仮に10年で2,000社や15年で3,000社となると、1年で200社の新規受注で、1ヶ月あたり16~17件の制作物を作る事になります。
同業だからこそ分かりますが、1件の制作物に少なくともデザイナーとディレクター最低2人で携わったとしても、ボリュームの少ないものでもだいたい1週間前後、ボリュームのある案件だと1ヵ月以上はザラに作業時間は掛かります。いくつか同時進行をしていたとしても1ヶ月あたり16~17件の制作物を作るって相当大変です。
それに1年で200社というのはあくまで「新規の受注」です。その新規の受注を取るまでの営業のやり取りやフォローなどもあります。
新規顧客へのアプローチからの受注率をかなり高めに設定しても恐らく3割がいいところでしょう。
年間200件の受注を行うのには年間600件以上のお問い合わせや折衝が必要です。
弊社はWEBサイトの施策やマーケティングにはかなり力を入れており、同業他社に比べてもWEBサイトからのお問い合わせが非常に多いほうですが、さすがに年間600件のお問い合わせを獲得して、さらに全てにフォローまでは行き届きません。
しかもこれって新規案件だけのハナシです。リピート客の対応まで入れたら日々どれくらいの業務量なのか想像を絶します。
これらが全て対応出来るって社員・スタッフが何人くらいいるのでしょうか?
過去の取引実績のアピールに対して、WEBサイトに掲載しているこれまでの制作実績の量ってそれに見合っていますか?
もちろん2,000件や3,000件の制作実績を掲載できないのは分かりますが、それでも20~30件程度しか掲載していないとかっていうのはいかがなものでしょうか。
仮に実績に対して1/100の掲載なのだとして、それだけの量から厳選して選んだデザインという事で相当な自信のあるデザインなのかもしれません。
そう思う事にしましょう。
これだけの取引実績のアピールで考えられるのは、まずそもそもの数字をハッタリで多く謳ってしてしまっているパターンがありますね。
そこは容易に想像がつきます。
過去の取引数は実際にバレるわけがないので、ちょっと盛って表現してしまおうと。
もう一点は制作物以外の別の商材の案件も実績に入れてしまっている場合もあります。
これが会社案内やパンフレットやWEBサイトなど、ある程度のボリュームのあるデザイン要素の含んだ制作物ではなく、例えば単なる印刷物を筆頭に、ステッカー制作や卓上カレンダー制作やノベルティ制作などの薄利多売なデザイン作業を含んでいないようなものです。
よく見ると「取引実績」と書いてあって「制作実績」ではないですもんね。
印刷会社から派生しているようなデザイン制作会社だとよくある表現方法です。
「取引実績3,000社だから信頼できる」と思っても、実際は他の薄利多売な商品を取り扱っていただけで、会社案内やパンフレットの制作の経験やノウハウはどこまであるのか怪しいものです。
COMPANY PROFILE PRODUCTION
よくWEBサイトのトップに「お客様満足度No.1」とか書かれているのって見たことありませんか?
よくWEBサイトのトップページに王冠が並んでいる例のアレですね。
これを見て「この会社はこの業界では一番評判がいいんだなぁ」と感じるのでしょうか?
そもそも、お客様の満足度を測り順位をつけるには、まず何かと比べなければなりません。
同じものを別々の制作会社に依頼して、A社とB社のどちらが良かったかを比べることで、初めて優劣をつけられるのではないでしょうか。
冒頭でも申し上げたように、会社案内やパンフレットは何度も作るものではないですし、ましてや複数社に同時進行で発注して作るという事はまずありえませんね。
ではどうやってこのお客様満足度を測るのでしょうか?
疑問に思いませんか?
以前に弊社へこんな営業の電話がありました。
これは実際にあった話しなのですが、以前に「お客様満足度No.1の称号を獲得しませんか?」という営業電話がありました。
「WEBサイトのトップページに王冠を並べられますよ」と。
どのようにしてお客様の満足度調査を行うのかと尋ねると「御社のターゲット層にアンケートを取ってイメージ調査を行います」との事でした。
でもアンケートを取る相手は弊社の顧客ではなく、リサーチ会社が用意したターゲット層?なるものにイメージ調査?のアンケートを行うらしいです。
お客様満足度の調査であれば、弊社の顧客体験をした方でないと意味はないかと思いますし、弊社のサービスを受けていない見知らぬ方へ行うイメージ調査?という意味がよく分かりませんでした。
しかも成果報酬で1位が取れなければお代はいただきませんとの事でした。
残念ながら丁重にお断りいたしましたが、世の中には色々なサービスありますね。
でもヤラセはいけません。
皆さん、価格の表示方法に決まりがあるってご存じですか?
実は2021年4月から税込表示の義務化が始まっており、表示価格には必ず「税込表示」をしなければならないというのが法律で定められています。
自社のサービスを少しでも安く見せたいのか、WEBサイトの価格表が「税抜表示」の制作会社がまだまだ沢山あります。
理由はいくつかありますが、まず1円でも安く見せたいという魂胆が丸見えですよね。
それって顧客に対して誠実ではないと思うんですよね。
競合他社と比べて1円でも安く見せて問い合わせを貰おうという姿勢があまりいいとは思えません。
でも実際は「そんなものが定められていることを知らなかった」という事も考えられます。
それだったら仕方なかったと思うのか、実際はそんな単純な話以上の問題があります。
こういった事が国で定められているにも拘らず知らないというのは「情報力の欠如」かと思います。
少なくともマーケティングツールを作る企業として、最低限それくらいの情報は知っていて当たり前ではないでしょうか。
もしそういった情報を心得ていれば、顧客へのアドバイスも勿論可能ですし、それ以外の顧客が見落としている情報もあるかもしれません。
もし今後も長いお付き合いをしていくとなると、そういったアドバイスがあるかないかって非常に大きい気がします。
これに付随する話で、2021年の夏頃にとある商品のパンフレットのご依頼をいただきました。
実は別のデザイン制作会社に発注して出来上がったばかりだったが、消費税の税込み表記をしておらず、作り直しをしなければならないとの事でした。
もちろん自己責任だとはおっしゃっていましたが、デザイン制作会社から一言アドバイスがあればそういったトラブルも避けられたのではないでしょうか。
最低限の情報を持っているって非常に大事です。
スタッフ紹介などのページを見てみると、社員に若いスタッフしかいないデザイン会社も存在します。
もちろん起業まもないベンチャー企業でしたら仕方ないかもしれませんが、そうでないにも関わらず若手社員に比べてベテラン社員があまり多くない企業があります。
一見すると明るくて楽しそうな雰囲気で、活気のありそうな職場にももちろん見えますが、実際のところはどうなのでしょうか。
そもそも、デザイン制作会社へ依頼をしようと思っているものは、企業の営業活動や採用活動に使う非常に重要なマーケティングにおける販促ツールです。
社会経験がまだまだ未熟な若手のディレクターやデザイナーに、企業の顔となるこれらの制作を任せても大丈夫なのでしょうか?
もちろん若さゆえのセンスは持ち合わせているかと思います。ですが求めるものってビジュアル面だけではないはずです。
会社案内などの販促ツールが「カッコいいか、カッコよくないか」の価値基準だけで作られては非常によくないかと思います。
やはりマーケティングツールの作成において、社会におけるビジネスの経験値って大事ですよね。
なぜベテラン社員が育たず、社員として定着せずに常に若手だけになってしまっているのか?
そこはお察しください。笑
でもそんな会社ってWEBサイトではみんな仲良く楽しそうに写っていますが、実際はなかなか社内の雰囲気は悪い可能性もあります(ブラック企業あるあるです)。
人が離職して新たに転職するってなかなかのエネルギーですよね。
でもそれが頻繁に起こってしまう社内の体制ってことなんでしょうね。
全体の社員数は全然増えていかないのに、毎年のように新卒採用しているような会社もあります。
それって社員の出入りの回転が速く、定着率が非常に低いという事ですよね。
そんな前向きでないスタッフのいる会社に、自社の大事な販促ツールの制作は不安で委ねられませんね。
今後、担当がコロコロ変わられても非常に不安です。
できれば社会経験の豊富なベテランのディレクターに担当してもらいたいのが本音ですね。
どのWEBサイトを見ても、やはり自社のサービスサイトなので都合の悪いことは基本的には書きません。
ですがそんなイイことだけしか謳っていないWEBサイトも、見る角度を変えればこれだけNGな要素を見出すことが出来ます。
会社案内パンフレットは「会社の顔」となる大事なマーケティングツールです。
同業だからこそ気が付ける(もちろん一方的な主観です)これらの要素に注意して、ぜひ信頼のおけるデザイン制作会社を探してみてください。