一言で「パンフレット」といっても様々な目的のものがあり非常に広義です。
パンフレットとは、商品やサービス、イベントなどの情報を紹介するために作られるもので、広義な意味で言えば会社案内もパンフレットの枠組みの中にあります。
何かの宣伝や案内が目的で使用されるもので、様々なシチュエーションで活用されます。
特に商品・サービスの啓蒙を目的としたパンフレットでは、情報の整理や見やすさが重要です。
また、キャッチコピーの工夫などにより、顧客やユーザーへ良い印象を与えることがポイントとなります。
本コラムでは、商品・サービスの啓蒙を目的とした場合の会社案内パンフレットの制作における情報の纏め方やキャッチコピーの作り方などをお話ししたいと思います。
目次
会社案内パンフレットの制作に取り掛かる前に、まずは情報の精査が必要です。
反響が上がる効果的なパンフレットを作成するには、伝えるべき情報が正確で、読者にとって分かりやすく、かつ魅力的であることが求められます。
まずはアピールしたい商品の特徴やサービスの強みを明確にし、どのポイントを重点的に伝えるべきかを整理します。
その際、顧客やユーザーが抱える問題やニーズに対して、自社の商品・サービスがどのように応えられるか、その課題を解決できるかを考慮し、情報を取捨選択します。
また、情報を過多にしないことも大切です。
企業としてはアレもコレもと伝えたいことは山ほどあるかと思います。
その商品・サービスのこだわりの部分や熱い思いなども沢山あることでしょう。
ですが、パンフレットはあくまで読み手に対して短時間で必要な情報を伝えるツールであり、膨大な情報を詰め込み過ぎると読み手が混乱してしまう恐れもあり、情報量に比例して読んでもらうハードルも上がっていくので注意が必要です。
商品・サービスの啓蒙を目的とした会社案内パンフレットでは、ページ数の限られたスペース内で、読み手にとって最も価値のある情報を分かりやすく伝える必要があります。
まず、商品の特徴やサービスの強みを明確にし、最も重要なメッセージを中心に据えます。
所謂コンセプトや核となる部分ですね。
次に、補足的な情報や詳細を順に配置し、読者が自然に目を通せるように構成していきます。
優先度を意識することで、読み手が興味を持ち、パンフレットの効果を最大限に引き出すことができます。
特にどの情報が一番重要かを決定し、その優先順位に基づいてレイアウトやデザインを考えることが重要です。
さらに、パンフレットのターゲット層を明確にすることも必要です。
ターゲットが誰であるかによって、使用する言葉遣いやデザイン、強調するポイントが異なります。
例えば、若年層向けのパンフレットであれば、ビジュアル要素を多めにし、カジュアルな言葉遣いが効果的かもしれません。
ここで重要なのが、あくまで「企業目線」ではなく「顧客目線」で行うことです。
顧客の立場になって考えるという客観的な思考が非常に重要です。
情報の精査をしっかり行った上で制作に取り掛かることが、魅力的かつ効果的な会社案内パンフレットを作る上では非常に大事なポイントです。
COMPANY PROFILE PRODUCTION
具体的な情報の精査が終わったら、次はそれらをどのように伝えるか、所謂コピーの部分です。
マーケティング戦略などで用いられるキャッチコピー作成の手法(概念)のラダリング法とういうのをご存じでしょうか?
ラダリングとは「ラダー」つまり梯子を上るように、商品やサービスの表面的な特徴から深層的な価値に至るまでの階層を段階的に探ることで深掘りしていき、消費者が感じる感情的・心理的な価値を明確にし、それをキャッチコピーに反映させます。
この説明だけを聞くと難しそうで面倒そうに聞こえますが、実際に行ってみるとさほど難しい手法などではありません。
実際の例に沿って考えていきましょう。
ラダリング法を元に考えると、商品・サービスに対して、顧客の心理として下記の4つの階層があると考えられます。
① 機能属性 → その商品・サービスで何ができるか(具体的な機能やサービスの特徴など)
② 機能的ベネフィット → 機能的な便意性(①がある事によりどのような利益・恩恵があるか)
③ 情緒的ベネフィット → 情緒的な便益性(①と②を得られたことによる感情的な部分での恩恵)
④ 得られるバリュー → 満足感や価値(①②③によってもたらされる価値)
ここでいう「ベネフィット」とは「利益、恩恵、ためになること」を表し、「バリュー」とは「価値」を表します。
上記の顧客心理を、例えば「車」を商品として当てはめて考えてみます。
① 機能属性 → 最新のエアバックシステム装備
② 機能的ベネフィット → 衝突しても安全・安心
③ 情緒的ベネフィット → 安心して運転する事ができる
④ 得られるバリュー → 家族をもっと大切にしたい
ラダリング法で表すと例えばこのようになります。
これを具体的に行うことにより見えてくる事があります。
実は顧客やユーザーへのメッセージとして向けた際、上記のラダリング法で行った②と③は実は競合他社との差別化が生まれ辛いということです。
①はもちろん機能や技術的な特徴(例えばスペックや機能的な違いなど)または具体的なサービス内容の違いなので、他社との差別化の大きなポイントとなります。
④はそのゴールに向けた情緒的なエモーショナルな企業からの提案なので、表現次第でその商品・サービスのブランディングのポイントともなります。
ですが②と③のベネフィットは恐らく各社が掲げているような比較的当たり前のようなことではないでしょうか?
上記の顧客心理は、特にキャッチコピーを作る際に用いられる手法です。
①~④をキャッチコピーと考えた際に、②と③は恐らくどの会社も掲げていそうな面白味のないコピーで、あまり魅力的に映りません。
逆に①をメインに据えるのであれば、機能的な違いやスペックや具体的なサービス内容の違いを唱えますし、④をメインにするのであれば、その商品・サービスを使うことによる情緒的でエモーショナルな価値を顧客や消費者へ提供できます。
キャッチコピーの作成を行う上で、自社の商品・サービスのどのポイントに注力するか、これを大きく意識していかなければなりません。
それと会社案内パンフレットに記載する情報量への注意は非常に重要ですね。
情報量が多ければ多いほど、顧客となる読み手が読むエネルギーが必要になります。
例えば契約書や入会案内など、顧客が絶対に読まなければいけない内容であればそれでもよいかもしれませんが、商品やサービスの情報を1から10まで記載する必要があるのでしょうか?
やはりパンフレットでは、いかに情報を簡潔にまとめ、読み手へ伝えるかが大きなポイントになります。
5W1Hとは、情報整理や文章作成に役立つ基本的なフレームワークで、下記に紹介する6つの要素で表していきます。
5W1Hを使うことで、物事の全体像を整理でき、伝えたい内容を効果的に組み立てることが可能です。
特に、パンフレット制作など、明確で具体的な説明が求められる場面では大いに活用されます。
5W1Hを意識することで、情報が抜け落ちることなく、読者に分かりやすく伝えることが可能となります。
文字通り「5つの(W)」と「1つの(H)」で表されます。
When(いつ)
その商材・サービスを受けられる時間軸に関することです。
日付はもちろん、期間や期限など表記が必要なサービスもありますね。
「限定」という時間軸でのオファーの魅せ方もあります。
Who(誰が)
サービスを受ける顧客(ターゲット)が誰かをはっきりさせる必要があります。
そのターゲットが目を引くようなデザインの表現ももちろん重要です。
そしてターゲットだけではなく、自身(自社)の紹介も信頼と安心を与える上で重要ですね。
What(何を)
商品やサービスの内容です。
特にここは必要以上に情報を書かず、簡潔に分かりやすく纏める努力が必要です。
文字が多くなるようでしたら、イラストや図版を入れて分かりやすく纏めましょう。
Where(どこで)
サービスを受けられる場所です。
申込先やサービスを提供する場所を記載しましょう。
分かり辛ければ地図をつけて分かりやすくする工夫などもあると良いかもしれません。
Why(なぜ)
その商材やサービスを顧客が受ける背景です。
なぜそのサービスを受けるべきなのか?
その商品が必要な理由は?
顧客目線で見た時に、顧客が欲している欲求をしっかりと可視化しましょう。
How(どのように)
そのサービスをどのように受けられるのか?
いかに簡単にできるのかや、どれだけ行き届いたサービスがあるのか。
その商材やサービスの強みをしっかりと網羅しましょう。
上記の5W1Hはもちろんターゲットやシチュエーションによってマチマチです。
その商材やサービスによって情報の前後の魅せ方は変わってくるでしょう。
もちろん上記の全てを記載しなければならないというわけではありませんが、恐らく上記の6つの要素を照らし合わせてみても間違いはないでしょう。
5W1Hを意識し、読み手である顧客目線に立って情報の精査や整理をしてみてください。
いくら商品・サービスの紹介がメインの会社案内パンフレットだからといって、ただ闇雲にアピールポイントだけを掲載しても思ったような反響は得られません。
特に重要なのは、顧客やユーザーに対して分かりやすく情報を伝えることです。
そしてその情報の出し方や情報の量、情報を出す順序なども重要です。
上記の手法に則って、自社の会社案内パンフレットがちゃんと顧客目線で効果的なコンテンツになっているかをぜひ確認してみて下さい。